代表取締役 市之瀬 隆

■人材を扱う仕事に挑戦しようとしたきっかけは。

▼独立する以前から営業として「人」に携わってきました。営業というのはつまり、心を買ってもらうことですが、そういった仕事をしている内、次第に「人の幸せを考える仕事をしたい」と考えるようになりました。派遣業として起業しようと思ったのはそういった理由からです。

■会社立ち上げで苦労したのはどんな点ですか。

▼会社を立ち上げるための手続きは、司法書士を頼らず、自分一人でこなしました。手続きを通じて、知識を得るためです。「知らない」ことほど怖いことはありませんからね。派遣業の許可もすべて自力で取得しました。わからないことは直接、労働局に問い合わせたりもしましたね。そういった意味ではまさに「手作りの会社」ですね。

人と人のつながりが会社を成長させてきた

■仕事面での目標を教えてください。

▼現在の派遣スタッフはおよそ150名。これを300名まで増員し、地域ナンバーワンの派遣会社になることが現在の目標。「ナンバーワン」の基準はいくつもありますが、私たちがこだわっているのは「質」の部分。そのためにも派遣スタッフさん達とのコミュニケーションやフォローには特に力を入れています。私自身、派遣スタッフさん達とよく飲みに行っているんですよ。

■他にはどのようなコミュニケーションの機会があるのですか。

▼ウチの事務所は、仕事が終わった後の派遣スタッフさん達のたまり場になることもしばしば。バーベキューなどのイベントでは50名もの方が参加をしてくれます。イベントの参加率や、派遣スタッフさんの定着率の高さは、私たちがこだわってきたコミュニケーションの結果だと思うとうれしくなりますね。
また派遣スタッフさんの誕生日にはささやかですがプレゼントを贈ることに決めています。誕生日というのは記念日ですからね。その日を祝うことに意味があるんです。おかげさまで業績も順調に伸びていますので、期間に応じたボーナスも支給できるようになりました。

■派遣スタッフさん方の反応は。

▼派遣の子の中には、当社の営業をしたいと言ってくれる人も少なくありません。それだけウチでの仕事に面白さを感じているということだと思います。うれしいことですね。当社は人から人への紹介で大きくなってきた会社。これからもスタッフとの連携を密にして「地元」にこだわった事業を展開していきたいと考えています。

派遣スタッフのためにできること

■派遣スタッフさんに求めている素養は。

▼目標や夢を持った人間は何よりも強い。私が派遣スタッフさんに求めているのもまさにこの部分です。変な話ですが、私は派遣スタッフさん達に「いつまでもウチにいてはダメだよ」と、よく話をしています。目標のためにウチの会社を踏み台にする、くらいの勢いで仕事をしてほしいですね。
当社の派遣先は、都心部の派遣業とは違い製造業が中心。製造業種にも様々な会社がありますが、派遣スタッフさんの将来のことを考え、時給は他社より高めに設定しております。派遣スタッフさん達にしっかり稼いでいただきたいからです。利益率は薄いですが、彼らに長く当社での派遣を続けていただくことが、結果的に会社の利益にもつながるはずですから。

そして地球の未来のために

■環境活動にも積極的とうかがいましたが。

▼個人的な話ですが、私には小学1年生の子どもがいます。親なら誰でもそう考えるでしょうが、最近特に「子どもの世代にいいモノを残していってあげたい」という考えが強くなっています。少しでもそれ実現するために、当社では植樹活動を続けています。
会社の規模からすると、植樹なんてまだまだ早いよ、ということを仰る方もいます。確かに当社の体力ではアフリカに何万本もの木を送ることはできません。植樹の目的はあくまで多くの人に「意識」を持ってもらうこと。ひとりひとりの意識が少しでも地球環境に向かえば、その分、地球は美しさを取り戻していくはずです。
私たちは地球から逃げ出していくことはできません。地球と共に生き、地球を生かしていくことが何よりも大切なんです。

2007年9月